レンズ構成図を見たことがあるだろうか。
曲線と直線が折り重なって形づくられる不可思議な文様は見るからに厄介そうで、このような理系的ビジュアルとはなるべくならば関わらないで生きていきたい、そう思っていた……今回、この本に関わるまでは。

Cameraholicsシリーズの最新刊「レンズ構成図で個性を知るオールドレンズ解体新書」は、このレンズ構成図と僕との関係を大きく変えてくれた一冊だ。わかりやすく読みやすい文章を目で追ううち、オールドレンズの奥深き世界に誘われていることに気づく。
そして理系的ビジュアルアレルギーもいつのまにか霧消し、いまではこの図形にむしろ親しみやすささえ覚えるほど(笑)。
レンズ構成のタイプを知り、それがどのような系譜に位置するか、タイプと系譜を理解するだけで、オールドレンズはぐっと身近になる。本書を通じてレンズ構成を知ることで、オールドレンズのダイナミズムをより体感できることだろう。
(カメラホリック編集部 YOS)


▲レンズ構成を読み解くための必須情報をコンパクトにまとめた第1章。レンズという工業製品の改良が、いつしか動物の進化(人類の進化論でもいいし、ポケモンの合成をイメージしてもいい)のように思えてくる。


▲第2章と第3章ではレンズ構成をタイプ別に解説。光学的な話を解説しているが、数式やグラフはまったく出てこない。理系的な知識がなくてもレンズ構成を理解できるだろう。各レンズ構成ごとに、その構成を採用したオールドレンズを多数収録。オールドレンズカタログとしても充実している。

▲著名なレンズ開発者の代表的な仕事を紹介しながら、壮大なレンズ構成サーガを展開する第4章。社会情勢やカメラの進化を背景に、レンズがどのように発展してきたかを物語風に解説している。まるでレンズ開発者の冒険譚!
Cameraholics Lab
レンズ構成図で個性を知る オールドレンズ解体新書
本書は、オールドレンズにおけるレンズ構成と描写傾向の解説書です。
既存の光学技術の入門書は理系の知識が不可欠で、ひと通り目を通すだけでも苦労します。本書は古典的なレンズ構成図を、徹底的にハードルを下げてわかりやすく解説します。また、該当する構成を用いた具体的なオールドレンズを多数紹介し、レンズ構成図という切り口でオールドレンズの世界を探索できるように導きます。光学技術と歴史という側面からオールドレンズを照らし、オールドレンズの深く豊かな世界へと誘う一冊です。
定価:2,970円(税込)
発売日 : 2022/2/24
ISBN-10 : 4798627399
ISBN-13 : 978-4798627397
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■執筆者
澤村 徹 Tetsu Sawamura ● ライター・写真家
1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。オールドレンズ撮影、デジカメドレスアップ、デジタル赤外線写真など、ひと癖あるカメラホビーを雑誌や書籍にて提案する。オールドレンズ関係のワークショップの講師も担当。
上野由日路 Yoshihiro Ueno ● 写真家
1976年生まれ。六本木スタジオを経てフリーに。音楽、舞台、雑誌、コマーシャルでのポートレート撮影をメインに活動。オールドレンズ、特にシネレンズの特徴を活かした独特の表現で作品制作を行なっている。近年オールドレンズの魅力を広めるための活動に力を入れ、「オールドレンズ写真学校」などのワークショップ、「オールドレンズフェス」などのイベントを主催。